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レントゲン、見方の味方6: 腹部レントゲンを参考に、治療プランを組み立てよう ・ その1


レントゲン検査は、多くの病院・クリニック・診療所で実施することができる簡便な検査ですが、
得られる情報は多く、依然として画像検査の主役的存在です。

そのレントゲン検査から対処法を考えるトレーニングとして、長期に渡って便通不良のある患者さんの
治療経過とともに、腹部レントゲンを供覧していきましょう。

症例は 80代の男性患者さんで、脳梗塞後遺症で急性期病院から転院してきた方です。
前医から経鼻胃管からの経管栄養を投与しており、小生が担当した時には
既に長期に渡って臥床が続いていました。

ご本人とご家族の強いご意向で、胃瘻造設は行わず、経鼻胃管での栄養投与を継続していました。
当時(この日を1日目とする)の腹部レントゲンを示します
(ちなみにこのレントゲンは、レントゲン、見方の味方5のレントゲンと同じものです)。

大腸ガス・小腸ガスが多く、腸管の動き(蠕動:ぜんどう)は かなり良くないようですね。

この時点では幸いにも嘔気や嘔吐、腹部の症状はなく、下剤のセンノシド 24mgを内服しており、
便通は1日に2回程度、軟便~泥状便が続いていました。

しかしこれ以上、経管栄養を無理に続けると、さすがに嘔吐から誤嚥性肺炎を発症する可能性があるため、
内服を継続しつつも経管栄養の投与を中止し、腸管の安静を図るために、
1日1,500mlの点滴投与を開始しました。

実施した対策を確認すると、
1)経管栄養を中止、
2)点滴投与を開始して腸管安静を図る、
3)経鼻胃管は留置してセンノシドの内服を継続した、ということですね。

センノシドの内服を継続したのは、腸の動きを低下・停滞させない(=蠕動亢進)ためです。
さて、腸管の安静を図ることによって、腹部レントゲンはどのように変化するでしょうか。

次号では 数日後のレントゲン検査結果を示します。

→ 腸管ガスの見方

レントゲン、見方の味方5

→ 腹部レントゲンから治療プランを立てる・その2

レントゲン、見方の味方7