その熱について、熱く語ろう 8
こちらも忘れないで、高齢者の「歯科・口腔領域」の感染症
見落としがちな、「歯科・口腔領域」
大学病院勤務時代、筆者にとって最も印象深い感染症の一例が、「歯科・口腔領域」の感染症です。
まさかと思って診察して、見逃さずに済んだ、というのが正直な感想です。
40℃を超える発熱を主訴に救急外来に紹介されてやってきた80代の男性。
以前から続く37℃代の発熱に加えて、受診当日から40℃を超える発熱があったそうです。
救急外来では様々な検査が行われ、高度な炎症反応を認めました。
同時に頭の先から足の先まで発熱の原因を探りましたが、
コレという原因を突き止めることができませんでした。
筆者が診察するまでに充分な検査をしたにも関わらず「原因不明発熱」でしたので、
残る原因は…、と考えた私は迷うことなく「口の中」を診察。
歯は数本だけのこっており、よく見ると途中で折れた歯も数本。
そしてその一部に、赤く腫れあがった歯肉を認めたのです。
押してみると強い疼痛を訴えたため、歯科口腔感染であることが強く疑われました。
その後の検査で、やはり歯肉内に残った歯の根っこの周辺に起こった感染症が原因であることが分かり、
抜歯と抗菌加療を行ったところ速やかに解熱し、血液検査のデータも改善しました。
これは診察に至るまでに経緯が大きなヒントとなったケースで、
決して私の診断が優れているからではありません。
医師の世界では「後医は名医」という言葉がありますが、まさにその言葉通りのケースだったわけです。
「歯科・口腔領域」の感染症は、「感染性〇〇〇炎」を起こしうる
歯科医の皆さんであれば口の中の診察には長けていると思いますが、
「歯科・口腔領域」の診療をしていない医療者にとっては見落としがちな領域ではないでしょうか。
こうした感染症は、「感染性心内膜炎」の原因として重要です。
感染性心内膜炎は、心臓の中にある「弁」に細菌感染が起こる病気です。
口腔内にいる細菌が血液の流れに乗って心臓の「弁」に感染を起こすことで、
弁に付着して増殖した細菌が塊となって脳にとぶことで脳梗塞の原因となったり、
弁自体が崩れることで弁膜症を引き起こしたりします。
高齢者の場合には充分に歯科・口腔ケアがなされていない場合も少なくなく、
頻度が高くはないかもしれませんが、高齢者の発熱の原因として、
頭の片隅に覚えておくとよいかもしれません。
大学病院勤務時代、筆者にとって最も印象深い感染症の一例が、「歯科・口腔領域」の感染症です。
まさかと思って診察して、見逃さずに済んだ、というのが正直な感想です。
40℃を超える発熱を主訴に救急外来に紹介されてやってきた80代の男性。
以前から続く37℃代の発熱に加えて、受診当日から40℃を超える発熱があったそうです。
救急外来では様々な検査が行われ、高度な炎症反応を認めました。
同時に頭の先から足の先まで発熱の原因を探りましたが、
コレという原因を突き止めることができませんでした。
筆者が診察するまでに充分な検査をしたにも関わらず「原因不明発熱」でしたので、
残る原因は…、と考えた私は迷うことなく「口の中」を診察。
歯は数本だけのこっており、よく見ると途中で折れた歯も数本。
そしてその一部に、赤く腫れあがった歯肉を認めたのです。
押してみると強い疼痛を訴えたため、歯科口腔感染であることが強く疑われました。
その後の検査で、やはり歯肉内に残った歯の根っこの周辺に起こった感染症が原因であることが分かり、
抜歯と抗菌加療を行ったところ速やかに解熱し、血液検査のデータも改善しました。
これは診察に至るまでに経緯が大きなヒントとなったケースで、
決して私の診断が優れているからではありません。
医師の世界では「後医は名医」という言葉がありますが、まさにその言葉通りのケースだったわけです。
「歯科・口腔領域」の感染症は、「感染性〇〇〇炎」を起こしうる
歯科医の皆さんであれば口の中の診察には長けていると思いますが、
「歯科・口腔領域」の診療をしていない医療者にとっては見落としがちな領域ではないでしょうか。
こうした感染症は、「感染性心内膜炎」の原因として重要です。
感染性心内膜炎は、心臓の中にある「弁」に細菌感染が起こる病気です。
口腔内にいる細菌が血液の流れに乗って心臓の「弁」に感染を起こすことで、
弁に付着して増殖した細菌が塊となって脳にとぶことで脳梗塞の原因となったり、
弁自体が崩れることで弁膜症を引き起こしたりします。
高齢者の場合には充分に歯科・口腔ケアがなされていない場合も少なくなく、
頻度が高くはないかもしれませんが、高齢者の発熱の原因として、
頭の片隅に覚えておくとよいかもしれません。
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