その熱について、熱く語ろう 7
意外だけど忘れてはならない 高齢者の発熱の原因・「偽痛風」
意外だけど忘れてはならない 熱の原因
高齢者の発熱の原因については、これまで肺炎や尿路感染症といった代表的なものを取り上げてきました。
もちろん、昨今ではコロナウイルス感染症についても触れるべきかと思いますが、
こうした新興感染症の感染パターンの把握や症状、熱の経過などについて
現時点でまとめるのは早計だと思います。
インフルエンザなどについても毎年 流行のパターンがあり、
現場でも行政サイドでも対応に苦慮している今、まとめを作成しても
系統的な対策を立てることは困難だと思うからです。
そこで今回は、肺炎・尿路感染症以外で、筆者がぜひ、皆さんに知っておいていただきたい
発熱の原因についてご紹介しようと思います。
表題にもあるように「偽痛風」は、高齢者が発熱をきたす原因疾患として、忘れてはならないものです。
偽痛風とは?
「痛風」はご存知でも、「偽痛風」は知らない、という方も少なくないのではないでしょうか。
以下にまとめると…
高齢者の発熱の原因については、これまで肺炎や尿路感染症といった代表的なものを取り上げてきました。
もちろん、昨今ではコロナウイルス感染症についても触れるべきかと思いますが、
こうした新興感染症の感染パターンの把握や症状、熱の経過などについて
現時点でまとめるのは早計だと思います。
インフルエンザなどについても毎年 流行のパターンがあり、
現場でも行政サイドでも対応に苦慮している今、まとめを作成しても
系統的な対策を立てることは困難だと思うからです。
そこで今回は、肺炎・尿路感染症以外で、筆者がぜひ、皆さんに知っておいていただきたい
発熱の原因についてご紹介しようと思います。
表題にもあるように「偽痛風」は、高齢者が発熱をきたす原因疾患として、忘れてはならないものです。
偽痛風とは?
「痛風」はご存知でも、「偽痛風」は知らない、という方も少なくないのではないでしょうか。
以下にまとめると…
痛風 | 偽痛風 | |
手足や足趾などの 小さな「関節」 |
どこに? | 手首や肘、足首や膝などの 「中~大関節」 |
尿酸 | なにが? | ピロリン酸カルシウム |
同じ関節に起こる炎症でも、痛風と偽痛風では関節が腫れる場所が違う、というのが特徴です。
もちろん、「変形性膝関節症」などの慢性的な関節の炎症によって、
両方の膝がもともと腫れている、という場合もあるでしょう。
しかし偽痛風は、「同時に両側性に発症することは非常にまれ」ですから、
関節の腫脹に左右差があるかが重要です。
典型的には「関節痛」を伴うことが多いですが、ごく軽度の場合には、
無症状で関節が腫れているだけ、という場合もあります。
そして、このシリーズのテーマである「発熱」も、当然、みられることが多く、
時に40℃以上の発熱となる場合もあります。
ですから原因が不明な発熱があった場合には、肩→肘→手首→膝→足首の順に、
各関節を対称性に触ってみるとよいと思います。
もともと腫れている関節に偽痛風が起きた場合でも、やはり温度に左右差があるものです。
偽痛風があるとき、血液検査をしたら、どうなる?
結論から申しますと、「白血球増多・左方移動・CRP上昇を伴う炎症」となることが多く、
細菌感染症に似たデータを示します(分からない方は、
「血液検査の読み方:決算総決算 2 「白血球」を参照)。
したがって、血液検査からでは、肺炎・尿路感染症とは区別がつきにくいのです。
偽痛風の治療は?
非常に診療が丁寧な先生であれば、関節の感染症である「感染性関節炎」を疑って
抗生物質による抗菌加療を行う場合もあるでしょうが、偽痛風には抗生物質は無効です。
偽痛風の診断が確定していれば、また腎機能に問題がなければ、
NSAIDsなどの消炎鎮痛剤を用いて関節の炎症を抑えるのがよいでしょう。
もちろん、「変形性膝関節症」などの慢性的な関節の炎症によって、
両方の膝がもともと腫れている、という場合もあるでしょう。
しかし偽痛風は、「同時に両側性に発症することは非常にまれ」ですから、
関節の腫脹に左右差があるかが重要です。
典型的には「関節痛」を伴うことが多いですが、ごく軽度の場合には、
無症状で関節が腫れているだけ、という場合もあります。
そして、このシリーズのテーマである「発熱」も、当然、みられることが多く、
時に40℃以上の発熱となる場合もあります。
ですから原因が不明な発熱があった場合には、肩→肘→手首→膝→足首の順に、
各関節を対称性に触ってみるとよいと思います。
もともと腫れている関節に偽痛風が起きた場合でも、やはり温度に左右差があるものです。
偽痛風があるとき、血液検査をしたら、どうなる?
結論から申しますと、「白血球増多・左方移動・CRP上昇を伴う炎症」となることが多く、
細菌感染症に似たデータを示します(分からない方は、
「血液検査の読み方:決算総決算 2 「白血球」を参照)。
したがって、血液検査からでは、肺炎・尿路感染症とは区別がつきにくいのです。
偽痛風の治療は?
非常に診療が丁寧な先生であれば、関節の感染症である「感染性関節炎」を疑って
抗生物質による抗菌加療を行う場合もあるでしょうが、偽痛風には抗生物質は無効です。
偽痛風の診断が確定していれば、また腎機能に問題がなければ、
NSAIDsなどの消炎鎮痛剤を用いて関節の炎症を抑えるのがよいでしょう。
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