その熱について、熱く語ろう 3
高齢者の発熱の原因として頻度の多い 「肺炎」
高齢者の発熱の原因として まず注目したいのは、「肺炎」
高齢者の発熱の原因として多い疾患といえば、まず注目したいのが「肺炎」と「尿路感染症」ですね。
もちろん季節によってはインフルエンザも、そして昨今ではコロナウイルス感染症も
原因として考えるべきですが、ここではまず、
「肺炎」と「尿路感染症」について解説していきたいと思います。
発熱から「肺炎」を考えるべきときに重視すべき身体所見
肺炎は高齢者に起こる疾患として最も頻度が高い疾患の1つであり、
発熱を伴うことも少なくありません。
では、肺炎を発症したときに、発熱のほかにどんな症状がみられるでしょうか?
全身をめぐる血液に酸素を供給する臓器である肺が障害されるわけですから、
当然、呼吸の症状は出現する可能性が高いですよね。
…となると、前回 お話しした身体所見のうちで注目すべきは、
「呼吸回数」や「SpO2(酸素飽和度)」、そして「痰の有無」ですね。
もちろん、高熱が続いていれば脱水症状にもなると思いますから、
「皮膚のハリ」、「舌の乾燥」、「尿の色」といった所見もたいせつになりますが、
肺炎を特徴づける所見としては、「呼吸回数」や「SpO2」、「喀痰の有無」が重要です。
もちろん、「肺の音・呼吸音」を聴診器で聴くことができれば診断に大きく近づきますが、
施設では看護師さんがいない施設もあり、判断が難しい場合もありますよね。
例えば、酸素投与なしでSpO2 96%であった場合、それで安心できるでしょうか?
ひとまず酸素を投与しなくてもSpO2が保たれているのはいいことですが、
その時、「呼吸回数」を念頭に置くのがよいと思います。
もちろん発熱するだけでも呼吸回数が増えることがありますが、
その場合には呼吸器系に問題がないとすれば、SpO2は上昇することが多いと思います。
その他、「肩で呼吸をする」ように大きな呼吸をしているかもチェックするとよいと思います。
要するに、頑張って呼吸しているか、ということですが、
その確認に「呼吸回数」や「呼吸の深さ(努力用呼吸の有無)」が重要になってくるのです。
また、先程ご紹介した「痰の有無」ですが、発熱によって脱水状態にある場合には、
痰の水分量が減少するため、「痰の量が少なく」、そして「痰が硬くなる」のです。
したがって、痰が少ないからと言って 呼吸器感染症を否定するのは早計です。
実際に高熱を呈している肺炎患者さんに対して点滴などで充分な水分を投与すると、
体だけでなく痰にも水分が供給されることになるため、痰が水分を含んで膨らんで、
むしろ肺への酸素・空気の通り道(気道・気管支)が遮断されてしまうこともあります。
また、こうして気道・気管支が痰によって遮断されると、SpO2が低下することもあります。
痰が多い場合には、肺炎があると思われる側の肺が上になるように体を傾けて、
背中を軽く叩く(タッピングする)ことで、痰を気道の中心側に落とし、
吸痰しやすくする、といった対処法もあります。
また慢性呼吸不全をお持ちの方では、普段からSpO2の値が低い場合も少なくありませんし、
呼吸機能が正常な方に比べて「呼吸困難感を感じにくい」という場合もあります。
その意味では、「いつもどのくらいなのか?」ということを理解するため、
普段から患者さんの状態を把握しておくことが大切ですね。
次回は尿路感染症についてお話します。
高齢者の発熱の原因として多い疾患といえば、まず注目したいのが「肺炎」と「尿路感染症」ですね。
もちろん季節によってはインフルエンザも、そして昨今ではコロナウイルス感染症も
原因として考えるべきですが、ここではまず、
「肺炎」と「尿路感染症」について解説していきたいと思います。
発熱から「肺炎」を考えるべきときに重視すべき身体所見
肺炎は高齢者に起こる疾患として最も頻度が高い疾患の1つであり、
発熱を伴うことも少なくありません。
では、肺炎を発症したときに、発熱のほかにどんな症状がみられるでしょうか?
全身をめぐる血液に酸素を供給する臓器である肺が障害されるわけですから、
当然、呼吸の症状は出現する可能性が高いですよね。
…となると、前回 お話しした身体所見のうちで注目すべきは、
「呼吸回数」や「SpO2(酸素飽和度)」、そして「痰の有無」ですね。
もちろん、高熱が続いていれば脱水症状にもなると思いますから、
「皮膚のハリ」、「舌の乾燥」、「尿の色」といった所見もたいせつになりますが、
肺炎を特徴づける所見としては、「呼吸回数」や「SpO2」、「喀痰の有無」が重要です。
もちろん、「肺の音・呼吸音」を聴診器で聴くことができれば診断に大きく近づきますが、
施設では看護師さんがいない施設もあり、判断が難しい場合もありますよね。
例えば、酸素投与なしでSpO2 96%であった場合、それで安心できるでしょうか?
ひとまず酸素を投与しなくてもSpO2が保たれているのはいいことですが、
その時、「呼吸回数」を念頭に置くのがよいと思います。
もちろん発熱するだけでも呼吸回数が増えることがありますが、
その場合には呼吸器系に問題がないとすれば、SpO2は上昇することが多いと思います。
その他、「肩で呼吸をする」ように大きな呼吸をしているかもチェックするとよいと思います。
要するに、頑張って呼吸しているか、ということですが、
その確認に「呼吸回数」や「呼吸の深さ(努力用呼吸の有無)」が重要になってくるのです。
また、先程ご紹介した「痰の有無」ですが、発熱によって脱水状態にある場合には、
痰の水分量が減少するため、「痰の量が少なく」、そして「痰が硬くなる」のです。
したがって、痰が少ないからと言って 呼吸器感染症を否定するのは早計です。
実際に高熱を呈している肺炎患者さんに対して点滴などで充分な水分を投与すると、
体だけでなく痰にも水分が供給されることになるため、痰が水分を含んで膨らんで、
むしろ肺への酸素・空気の通り道(気道・気管支)が遮断されてしまうこともあります。
また、こうして気道・気管支が痰によって遮断されると、SpO2が低下することもあります。
痰が多い場合には、肺炎があると思われる側の肺が上になるように体を傾けて、
背中を軽く叩く(タッピングする)ことで、痰を気道の中心側に落とし、
吸痰しやすくする、といった対処法もあります。
また慢性呼吸不全をお持ちの方では、普段からSpO2の値が低い場合も少なくありませんし、
呼吸機能が正常な方に比べて「呼吸困難感を感じにくい」という場合もあります。
その意味では、「いつもどのくらいなのか?」ということを理解するため、
普段から患者さんの状態を把握しておくことが大切ですね。
次回は尿路感染症についてお話します。
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