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その熱について、熱く語ろう 2


発熱時に あわせて知りたい身体所見、アレコレ

発熱を認めたら、まずは〇〇から
「熱が出た」というと、急性期病院ではどんなことをするでしょうか?
診察はもちろん、血液検査や尿検査、さらに感染症を念頭に血液・喀痰・尿の培養検査を行い、
そして必要に応じて画像検査を実施するなど、とにかく原因を探り当てるために全力を注ぎます。
そしてそれらの結果から最も予想される診断に対して治療や追加検査を実施します。
しかし、急性期医療機関以外では、このようにはいかないものです。
急性期医療機関以外であれば、当日のうちに検査を実施できる場合は少なく、
身体所見や経過などから原因を探って対応する必要があります。
したがって、施設には医療機関では経験しない困難があり、また医療スタッフが充分ではない分、
スタッフの皆さんの判断の精度を少しでも上げておきたいところです。
では、発熱した方がいた場合、「体温」以外に収集できる情報には、どんなものがあるでしょうか。

まだある、「発熱」で注目すべき所見
まずは「血圧」「脈拍」ですね。これはバイタルサインとして基本的なものと言えますね。
「体温」、「血圧」、「脈拍」は、その場で測定できるというメリットがあります。
その他には「呼吸回数」「呼吸の深さ(努力用呼吸の有無)」、
「SpO2(酸素飽和度)」
がありますね。「呼吸回数」もその場で測定できます。
呼吸の深さは、いつもより大きく・深く呼吸をしているか、ということですね。
「SpO2」も機械さえあれば簡単に測定できます。
特に最近のコロナウイルス感染症の拡大によって、個人でも「SpO2」を測定できる機械を
購入されているケースも多いですよね。さらに「喀痰の有無」にも注目しておくとよいと思います。

まだまだある、「発熱」で注目すべき所見
その他に、発熱といえば、「脱水」も注意すべきです。
私が注意しているのは「皮膚のハリ」です。
これを医学的には「ツルゴール」などと言ったりします。
つまんだ皮膚が「瞬時に戻る場合」、「少し時間がたって戻る場合」、
そして「戻らない場合」で比較すると、この順に段階的に乾燥が強いことを意味します。
この「皮膚のハリがない状態」を、「ツルゴールが低下している」と言ったりします。
もちろん、高齢者の場合であれば、もともと「皮膚のハリ」が乏しいことも少なくなく、
判断に困ることもあるでしょう。
しかし脱水がなければ、「少し時間がたって戻る」場合が多いと思います。
この「少し時間がたって」、というのは「数秒で」という程度です。
10秒以上かかるようなら、相当に「ツルゴールが低下している」と言えるでしょう。
そしてもう1つ、注目したいのが「舌の乾燥」です。簡単に言えば、喉が渇いているか、ですね。
口を開けてもらえば、舌がパサパサ、かどうかわかります。
そして可能であれば、「尿の色」もチェックしたいところです。
皆さんもご経験があると思いますが、夏にたくさん汗をかいた時などには、尿の色は濃くなるものです。
黄色の濃い尿が出ているようなら、脱水を裏付ける所見といえると思います。

さて、これらの所見を改めて並べてみると、
体温」、「血圧」、「脈拍」、「呼吸回数」、「呼吸の深さ(努力用呼吸の有無)」、
「SpO2(酸素飽和度)」、「喀痰の有無」、「皮膚のハリ」、「舌の乾燥」、「尿の色」
…。
もちろん、他にもたくさんあるかもしれませんが、「発熱」したときに注目すべき所見が、
これだけたくさんあるのだ、ということを学びました。
実はこれらの所見を読み取ることができれば、発熱の原因をある程度 推測できるかもしれません。

次回は、これらの所見と、発熱の原因の関連性について学んでいきたいと思います。