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その熱について、熱く語ろう 1


特に、療養施設での発熱に焦点をあてて

多岐にわたる高齢者の発熱の原因
「熱が出た!」と聞くと、原因は何かと考えると同時に、どのように対処すればいいか、
悩んでしまうという方は少なくないのではないでしょうか。
発熱の原因はさまざまであり、ウイルスや細菌といった感染症による発熱もあれば、
悪性疾患に伴った発熱や薬剤熱など、様々な原因が考えられます。
また、発熱に対する対処方法についても、多岐にわたりますよね。
さらに最近ではインフルエンザだけではなく、コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、
感染した方以外にも、その方の濃厚接触者、さらには診療にあたった医療者にも大きな影響が及びます。
それだけに、入院医療機関や施設内で ひとたび発熱した患者さん・医療者がいると、
業務遂行すらも困難になる可能性があります。
しかし発熱の原因は多々あれど、やはり原因ごとに「頻度」があるわけです。
つまり、起こりそうな発熱、起こりにくい発熱があるということです。
また、昨今のコロナウイルス感染症については対策方法としては 未だに確立されていない面も多く、
今回 ここで説明するのは早計な感もあります。
そこで今回は、発熱の原因にはどんなものがあるのか、特に高齢者施設や
有料ホームなどで注意すべき点
を中心にお伝えしたいと思います。

発熱の原因、アレコレ
発熱の原因には、どんなものがあるでしょうか?例を挙げると、
肺炎や尿路感染症などの「細菌感染症」、コロナやインフルエンザなどの「ウイルス感染症」のほか、
「蜂窩織炎(ほうかしきえん)」「歯科領域の感染症」も忘れてはいけない感染症ですね。
発症頻度は低いものの、「見落としがち」な感染症ですから。
さらに、「悪性疾患」「偽痛風」といった「非感染性疾患」もあります。
また、日中に臥床している高齢者では、布団をかぶって寝ている方では
「うつ熱(熱がたまって体温が上がってしまう)」や、
夏季であれば「熱中症」も忘れてはならない疾患ですね。
高齢者の場合には、「典型的な症状がでにくい」といったことも多く、
見逃されることも少なくありません。
また認知機能の低下から、症状を訴えることができないことも多く、
普段の観察が大切になるのです。
そうした観点からいえば、普段 患者さんの医療・療養を 直接 担当している医療スタッフの
皆さんの「気づき」が、患者さんの予後を左右することも、充分にありえると思います。

発熱を見つけるために、何をするべきか?
それはズバリ、「体温を測定すること」、です。
当たり前のことですが、非常に重要です。
しかし問題となるのは1日何回、どのタイミングで測定するのがよいのか、ということです。
急性期病院では1日に何度も血圧や脈拍、体温といったバイタルサインを
測定することも可能かと思いますが、回復期病棟や療養病院といった非急性期の医療機関、
さらに老健や特養、グループホームや有料ホームといった施設では、
人手の点で難しいかもしれません。
そこで急性期医療機関以外の場合には、ひとまず無理のない範囲で、
毎日1回は測定する、ということでよいかと思います。
大切なのは、異常がみられた場合や普段と様子が異なる場合には、
臨機応変に測定回数を増やす
、ということです。
そこで大切なのが、体温以外にどんな項目を測定すべきか、ということです。
「こんな基本的なこと、どこでも当然 もうやっている!」とお考えの方もいらっしゃると思いますが、
これまでの私の診療経験で感じる限り、
できている施設とできていない施設の差が大きい、と感じるのです。

次回は、発熱時に、さらに何を測定しておくとよいか、についてお話していきます。