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心電図、ホンキのキホン(10)虚血の心電図変化と時間経過

[2021.02.08]

虚血の心電図変化と時間経過

前回の勉強会では、「どの冠動脈で虚血が起こると、心電図のどの誘導に変化が表れるのか?」についてご説明しました。今回は、それぞれの誘導に表れる「虚血」による変化(=虚血性変化)とは、どんなものか、です。心電図を「波」としてとらえた場合に、心電図の形のことを「心電図波形」といいますが、虚血で見られる「波形」はどんなものか、というのが今回の主題です。
実は心電図の虚血性変化は時間とともに刻々と変化します。では、時間とともにどんな変化がみられるのか、見てみましょう。

上の図に示す通り、虚血の心電図は時間とともに ダイナミックに変化していきます。特徴としては、心電図波形の「S」の部分や「T」の部分から変化が始まる、ということです。念のために、心電図のどこが、「S」や「T」なのか分かるように、この心電図シリーズの第1回で登場した図を左下に添付しておきます。

この「S」や「T」の部分が上昇することを「ST上昇」といい、虚血性変化を表す代表的な表現です。このSTは時間とともに上昇したり、下降したりして、最終的には元の心電図と同じような波形になります。

 

しかし心電図、特に心筋梗塞では、虚血の名残りが心電図上に残るでしたね。その1つが「異常Q波」です。実はQ波自体は通常の心電図でも見られるものですが、これが大きく、深くなっているのが分かると思います。また「T波」も上向きの山型から、下向きの谷型になっているのが分かると思います。これを「陰性T波」といいます。ですから古い心筋梗塞の名残りの所見として。「異常Q波」や「陰性T波」は覚えておく必要があるのです。

これらの所見は、あくまで「典型的」なものであり、全例に同様の所見が表れるわけではありません。ですから、これらの所見があったら、すぐに「虚血だ!」と決めつけてしまっていいのでしょうか?心電図の診断を、より確かなものにするために、皆さんならどうしますか?… ヒントは、前回の勉強会を思い出せば分かります。心臓には、心筋に酸素を送る冠動脈があり、どの冠動脈に異常があるのかは、心電図の波形の組み合わせで判別するのでしたね。ですから 心電図変化が起きている誘導がどの冠動脈の異常なのかを考え、同じ冠動脈の異常が表れる他の誘導でも同様の異常が記録されているかを確認することが重要です。そしてもう1つ、いい方法があります。今回の勉強会で学んだこと、経時的変化を追うことです。そのためには、一度とった心電図の誘導を、慌てて剥がさないことが重要ですね。どうしても剥がさなくてはならない時には、剥がしたところに マジックで「×」マークを付けておくといいですよ。

→ 心電図、ホンキのキホン(11)ドキドキさせてよ、ペースメーカー

 

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