これなら分かる! 向精神薬3 ベンゾの抱える問題点
ベンゾが抱える問題点
ベンゾジアゼピン受容体作動薬(通称、ベンゾ)が悪者扱いされる理由はもちろんその副作用にもあるのですが、
処方のされ方や適切に使用されないことによる問題も大きいです。
そういった問題で一番有名な(悪名高い?)のはエチゾラム(デパス®️)でしょう。
その背景としては、エチゾラムは適応疾患が幅広く、抗不安薬としても睡眠薬としてもダブルで
適応が通っていて処方されやすいこと、
あとはなによりも2016年まで「麻向法」(麻薬及び向精神薬取締法)において向精神薬指定を
受けていなかったことが要因です。
そのため、それまでは処方日数制限もありませんでした。
同時期にゾピクロン(アモバン®️)とともに向精神薬指定を受け、30日の処方制限が設けられています。
長期処方になってしまう理由とは?
では、そもそもどうして長期にわたる漫然とした処方になってしまうのでしょうか?
その理由としては、ベンゾは大変切れ味がよいため、医師側としては患者さんの反応がとても良く感じられ、
患者さんを楽にしてあげた、ちゃんと治療したぞ、というような成功体験が得られやすい
(悪く言えば手っ取り早く・・・)ことが考えられます。
患者さん側としても、すぐに効果が期待できるので気に入ってしまい、他の薬では満足感を得られなくなり、
一度始めてしまうと非常にやめづらい関係になりがちなのが原因です。
そうやって継続していくうちに実際に依存も形成され、いざやめようと思っても
もう簡単にはやめられなくなってしまう状態に陥るわけです。
ベンゾは内科や整形外科など精神科以外の領域でも漫然と処方されることも多く、
2018年度の診療報酬改訂から ついに規制が厳しくなりました。
医師が特別な研修を受けていないと、多剤併用している場合や漫然と1年以上処方が継続されている場合に
診療報酬が減算される仕組みが導入されました。
今では随分と減ったかもしれませんが、あまり患者さんの背景も確認せずに、
ベンゾが2剤も3剤も処方されているような状況を見た時には、
「えっ!?大丈夫、それ!?」と思ってしまいます。
初診などでたいした説明もなく、ポンって処方されてたりするのも結構怖いです。
それが依存や乱用の入り口に・・・。
抗不安薬、睡眠薬それぞれ1剤ずつ計2剤までなら、「うーん・・・仕方ないのかな」ってまだ思えますが、
はじめから3剤なんてほんとにあり得ません!
そういうところに自分の家族を通わせようとはとても思えませんね。
ベンゾは誰に処方するにしても注意を払ったほうがいい薬で、
まずは他の薬でどうにかできないかを考えることが大切です。
特に高齢者や認知症患者さんにはまず使用を考えないことが大切だと思います。
入院中の頓服指示の定型文などにベンゾが安直に入っている状況は非常に問題だと思っています。
「不眠時、ハルシオン1錠内服」みたいなやつです。
ベンゾはせん妄の直接的な原因にもなるため、不眠改善目的に使用したのにせん妄を引き起こし、
かえって不穏になってしまうなど、泥沼化する場合もあります。
ほかに避けたほうが良い患者像としては、知的障害(脱抑制を起こしやすい)、
境界性パーソナリティ障害(過量服薬、脱抑制により自殺のリスク)、
アルコールを常用している方などが考えられます。
それでは、次回は使用する側の問題について触れていきたいと思います。
処方のされ方や適切に使用されないことによる問題も大きいです。
そういった問題で一番有名な(悪名高い?)のはエチゾラム(デパス®️)でしょう。
その背景としては、エチゾラムは適応疾患が幅広く、抗不安薬としても睡眠薬としてもダブルで
適応が通っていて処方されやすいこと、
あとはなによりも2016年まで「麻向法」(麻薬及び向精神薬取締法)において向精神薬指定を
受けていなかったことが要因です。
そのため、それまでは処方日数制限もありませんでした。
同時期にゾピクロン(アモバン®️)とともに向精神薬指定を受け、30日の処方制限が設けられています。
長期処方になってしまう理由とは?
では、そもそもどうして長期にわたる漫然とした処方になってしまうのでしょうか?
その理由としては、ベンゾは大変切れ味がよいため、医師側としては患者さんの反応がとても良く感じられ、
患者さんを楽にしてあげた、ちゃんと治療したぞ、というような成功体験が得られやすい
(悪く言えば手っ取り早く・・・)ことが考えられます。
患者さん側としても、すぐに効果が期待できるので気に入ってしまい、他の薬では満足感を得られなくなり、
一度始めてしまうと非常にやめづらい関係になりがちなのが原因です。
そうやって継続していくうちに実際に依存も形成され、いざやめようと思っても
もう簡単にはやめられなくなってしまう状態に陥るわけです。
ベンゾは内科や整形外科など精神科以外の領域でも漫然と処方されることも多く、
2018年度の診療報酬改訂から ついに規制が厳しくなりました。
医師が特別な研修を受けていないと、多剤併用している場合や漫然と1年以上処方が継続されている場合に
診療報酬が減算される仕組みが導入されました。
今では随分と減ったかもしれませんが、あまり患者さんの背景も確認せずに、
ベンゾが2剤も3剤も処方されているような状況を見た時には、
「えっ!?大丈夫、それ!?」と思ってしまいます。
初診などでたいした説明もなく、ポンって処方されてたりするのも結構怖いです。
それが依存や乱用の入り口に・・・。
抗不安薬、睡眠薬それぞれ1剤ずつ計2剤までなら、「うーん・・・仕方ないのかな」ってまだ思えますが、
はじめから3剤なんてほんとにあり得ません!
そういうところに自分の家族を通わせようとはとても思えませんね。
ベンゾは誰に処方するにしても注意を払ったほうがいい薬で、
まずは他の薬でどうにかできないかを考えることが大切です。
特に高齢者や認知症患者さんにはまず使用を考えないことが大切だと思います。
入院中の頓服指示の定型文などにベンゾが安直に入っている状況は非常に問題だと思っています。
「不眠時、ハルシオン1錠内服」みたいなやつです。
ベンゾはせん妄の直接的な原因にもなるため、不眠改善目的に使用したのにせん妄を引き起こし、
かえって不穏になってしまうなど、泥沼化する場合もあります。
ほかに避けたほうが良い患者像としては、知的障害(脱抑制を起こしやすい)、
境界性パーソナリティ障害(過量服薬、脱抑制により自殺のリスク)、
アルコールを常用している方などが考えられます。
それでは、次回は使用する側の問題について触れていきたいと思います。
「ベンゾ」のキホン
ベンゾ、使用上の注意(おまけのアルコール)