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血液検査データの読み方:差がつく 生化学(5)肝機能:AST・ALT・ALP・γGTP

[2021.01.14]

データで読み解く 「AST/ALT/ALP/γ-GTP」

 

 

「どれも肝機能障害の値でしょ?」
健康診断で「肝機能障害がある」と言われると、「アルコールのせいじゃないの?」とか「ガンマ何とかでしょ?」、などと よく言われますよね。医療者であれば、肝機能を表す指標として、AST、ALT、ALP、γ-GTP、などがあるのはご存知かと思います。でも、それぞれの違い、理解できていますか?
肝臓は体内に入ってきた様々な物質を分解・合成する化学工場のような臓器です。この工場のどこかで起こった異常が、検査結果として表れるわけです。

 

AST(GOT):主に肝臓自体の異常(特に肝血管系:つまり、肝動脈や肝静脈)
ALT(GPT):主に肝臓自体の異常 (特に 門脈系 : つまり、胆管)
ALP   :主に胆管の異常、ただし胆管以外にも骨や小腸・胎盤の影響を受ける
γ-GTP  :主に胆管の異常

 

ですから、肝臓の血管に負荷がかかるような疾患では、同じ肝機能障害でも、ASTの方が影響を受けやすく、門脈系に負荷がかかる場合にはALTの方が影響を受けやすいのです。
ということは、疾患でみてみると、このようになります。

心不全では…              AST  >  ALT  (AST優位)
脂肪肝・薬剤性肝障害では…        AST     <   ALT   ALT優位

 

この、AST優位・ALT優位を知っているだけで、「お、デキる!」と思われるのではないでしょうか。もし、AST優位なら「患者さんの心臓の機能以上に大きな負荷をかけるようなリハビリをしてはいないだろうか?」と考えるきっかけにもなりますし、ALT優位なら、「最近始めた内服薬の影響ではないだろうか?」と考えて内服薬を見直すチャンスになるかもしれません。特に肝臓は「沈黙の臓器」とも言われ、データの異常があっても臨床症状が現れにくい臓器なのです。ですから患者さんが漠然とした倦怠感を訴えたときなどに、以前と比べてASTやALTが上昇していたら、あなたが気付いてあげないと 患者さんはずっと辛い思いをすることになります。実はASTとALTの正常範囲を比べてみると、ほとんど同じ値なのですが、若干 ASTの方が、高いことが多いです。ですからALTが軽度でもASTを上回っていたら、脂肪肝や薬剤性肝障害を疑ってみてもいいかもしれません。

 

では実際に肝機能障害を見つけたとき、どのように対処すべきでしょうか?先述の通り、肝臓は沈黙の臓器と言われ、ほとんどの場合、無症状で経過します。またASTやALTが50~100程度の異常は比較的よくみられますが、仮に薬剤性であっても薬剤投与によるメリットを優先して内服を継続(つまり肝機能障害は経過観察)することもあります。この辺りの判断は医師でないと難しいかもしれませんね。定期的な採血で、数値が更に悪化しないかフォローしていくとよいでしょう。

→ 血液検査データの読み方:差がつく 生化学(6)尿酸

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