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血液検査データの読み方:差がつく 生化学(3)カリウム

[2021.01.07]

データで読み解く 「K」

「K(カリウム)」とは?
カリウムは、人体内には大変多く含まれますが、その多くが「細胞内」です。この「細胞内」というのは分かりやすく言うと
→ 「細胞: 文字通り、人間の細胞の中
  「細胞 「細胞の外=血管内」のことです。もっと簡単に言うと「血液」のことです。だから高Na血症のところで登場した「細胞外液」は、維持液に比べて血液に近い組成をしていましたね。

従って、血液内にはカリウム値は少ないのですが、細胞内には大量にカリウムがあります。例えば打撲によって「細胞」が壊れてしまった場合、細胞内の豊富なカリウムが大量に血液内に放出され、高カリウム血症になります。交通事故後や外傷によって起こる「コンパートメント症候群」では、手足が物に挟まれるなどした圧力で「細胞」が破壊されるとことで細胞内の大量のカリウムが、一気に血液中に排出されるため、不整脈や突然死を起こすことがあります。

 

さて、このカリウム、血液検査の値が重要になってきます。高すぎても低すぎてもダメなのです。
カリウムの正常範囲は、 3.5~5.0mEq/L で、3.5未満を低カリウム血症、5以上を高カリウム血症といいます。この範囲をでたら すぐにアウト、というわけではありませんが、大きく外れると危険です。ちなみに、成人が1日に必要とするカリウムの量は、40~50mEqです。


では、どんな原因で上下するのでしょうか…?

カリウム血症」:頻度的に多い原因としては、1.慢性腎不全と、2.K保持性利尿薬(スピロノラクトン)服用時、3.ARBというタイプの降圧剤服用時、です。その他にもホルモンの病気などで起こりますが、難しいので省略します。

 

カリウム血症」:多いのは、1.フロセミドというタイプの利尿剤服用時、2.下痢、3.(甘草を含む)漢方内服時の偽アルドステロン症、4.過換気症候群のとき(呼吸性アルカローシスの代謝性代償)、などです。

 

カリウム血症の原因で頻度として多いのは1.と2.です。極度の低K血症をきたすのは、3.の偽アルドステロン症による低カリウム血症です。漢方薬の中で、甘草を含むものは多いので注意が必要です。病棟にある薬の本(「今日の治療薬」®など)でも漢方の成分は掲載されていますので、普段から病棟でよくつかう漢方に甘草が含まれているのかを事前にチェックしてみるのもいいかもしれません。私の経験では、何年も前から他院で漢方を投与されていた高齢者の血液検査結果を計った時の K 1.4mEq/L !!しかしここで大切なのは、慌てて補正しないこと。まずは漢方薬を中止、そして少量のK製剤を補充(いきなり最大投与量でなくても充分です)。この症例の場合、長期に渡って漢方薬を内服していたのですから、今さら慌ててはいけません。ゆっくり、着実に補正することが重要です。多くの場合、原因となる漢方薬を中止して数日から1週間程度で、K値は正常下限程度までは回復します。

 

難しいことは さておき、カリウムの異常でどんなことが起こるのでしょうか?カリウムは心臓の電気の伝わりや筋肉の収縮に関係しています。従って 起こりうる異常としては、いずれも「不整脈」と、カリウムの時のみ「筋力低下(周期性四肢麻痺)」です。治療のポイントは…、何度も言う通り、「慌てて補正しないこと」です。精神論を言っているわけではなく、短時間でカリウムを補正した場合、変動幅が大きいと 不整脈を誘発しやすく、不幸な結果を招く場合もありますから。
ただし、症例によって対応は異なりますので、現場での対応については主治医と相談して方針を決めていく必要があります。

 

→ 血液検査データの読み方:差がつく 生化学(4)腎機能:クレアチニン・eGFR

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