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血液検査データの読み方:差がつく 生化学(2)低ナトリウム血症編

[2021.01.04]

データで読み解く 「Na・Cl」・・・低Na血症編

 

前回は、「高Na血症」について説明しましたが、今回は「低Na血症」について、です。Na低値の原因は大きく分けて2つあり、
1 塩分摂取不足
2 SIADH(ADH不適切分泌症候群)

つまりは「食事摂取不足・食欲不振」によるものです。つまり食べてないから塩分も不足する、というものです。この塩分不足についてのポイントは2つ、です。

 

<ポイント1>
食欲不振の原因が、「薄味・塩分制限食」による可能性があること、です。つまり「薄味」だから食べない、食べないから「低Na血症」になる、ということです。だから、もし塩分制限食をあまり食べていないなら、まずは「塩分制限を解除して食欲が回復するか試す」、というのも方法の1つです。塩分制限を解除しても5割しか食べられないなら、塩分は充分に制限されていることになりますから…。

<ポイント2>
食欲不振によって脱水状態となっている場合、Na値は正常値を示す場合がある、ということです。前回の勉強会では「脱水によってNa値が上昇する」ことを学びました。従って、「Na値が正常範囲内」であるということは、「単なる食欲不振に加えて脱水も併発していて、本来なら低下しているはずのNa値が 脱水によって上昇している」ことを意味しています。正常値だからといって安心できません。

 

2.SIADH(ADH不適切分泌症候群)
ADHは「抗利尿ホルモン」といい、要するに名前の通り、「おしっこを出にくくするホルモン」です。このホルモンの特徴は、「尿への塩分の排泄を抑制すること」=「体内の水分と塩分が、尿として体外に出ないようにする」、のです。どうしてこのような状態になるのかは諸説色々ありますが、例えば当院にも多く入院されている「脳血管疾患後」の患者さんなど、さまざまな原因で起こり、Naが120mEq/L未満、という症例にお目にかかることもあります。

<では何をすればいいか?>
まずは尿中のNa排泄をチェックすること、です。蓄尿するのが一般的ですが、随時尿でもまったく問題がないのです。血中のNa値が低いということは、尿中のNaの排泄は、常に抑制されていなくてはなりません。ということは、尿中のNa値が低下していなければ異常であり、たとえ正常範囲内であっても異常ということになり、この場合はSIADHと考えていいでしょう。

そしてもう1つ、重要なのが、治療についてです。つまり、低Na血症に対して、塩分投与をすべきか、ということです。不思議なことに、SIADHの患者さんの多くは、低Na血症があっても意識レベルや血圧には異常がないか、あっても軽度のことが多くみられます。大切なことは、低Na血症が、患者さんにどんな影響を及ぼしているか、ということなのです。従って低Na血症があっても、意識障害がなければ、慌てなくていい、ということです。実害がなければ、経過観察しても問題ないことが多いのです。

 

→ 血液検査データの読み方:差がつく 生化学(3)カリウム

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