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血液検査データの読み方:実践問題編1

[2021.03.25]

データを読み解き、検査を進め、原因を探そう

<実践問題編>では、実際のデータを見たら、どう考え、どんな検査を行い、どう対処すべきかを学んでいきます。少し難しいという方は、「血液検査データの読み方 「血算総決算」「差がつく生化学」 とリンクしていますので、併せてご参照ください。また 少しいじわるですが、実際のデータのように、敢えて日本語表記をしていません。
では早速、実際の血液検査データを例に、血液検査を読み解くコツをご紹介したいと思います。

WBC 107.0×102/μl, RBC 368×104/μl, Hb.9.7g/dl, HCT 29.8%, MCV 86.2fl, MCH 29.2pg, MCHC 33.8%,Plt. 31.4×104/μl, Neutro 82.2%, Eosino 3.4%, Baso 1.0%, Mono 5.7%, Lympho 7.8%, Na 135mmol/l,K 5.2mmol/l, Cl 95mmol/l, Ca 10.4mg/dl, TP 6.5g/dl, Alb. 2.8g/dl, UA 6.8mg/dl, BUN 22mg/dl,Cr. 1.52mg/dl, CRP 1.97mg/dl, eGFR 27.6

 

さて、上記のデータは脳梗塞後のリハビリ目的で入院された70歳代の男性の入院時の血液検査データです。色々とデータが並んでいますが、皆さんならまずどこに注目しますか?私なら、まず「血算」に着目します。つまり…、

WBC 107.0×102/μl, RBC 368×104/μl, Hb.9.7g/dl, HCT 29.8%, MCV 86.2fl, MCH 29.2pg, MCHC 33.8%,Plt. 31.4×104/μl, Neutro 82.2%, Eosino 3.4%, Baso 1.0%, Mono 5.7%, Lympho 7.8%,

 

ここで、特に重要な項目を抜き出して、項目ごとに整理すると、以下のようになります。

赤血球:Hb.9.7g/dl, MCV 86.2fl 

白血球:WBC 107.0×102/μl, Neutro 82.2%

血小板:Plt 31.4×104/μl

まず、「貧血」について考えてみましょう。もし内容的に難しい場合には、「血算総決算1」も参考になさってください。

「貧血」の有無を確認したい場合には、RBC(赤血球数)よりも Hb.(ヘモグロビン値)の方が参考になります。実際に輸血の要否を判断する目安としても、Hb.を参考にします場合が多いと思います。ここで併せて確認したいのが、MCV値です。MCVは平均赤血球容積、つまり赤血球自体の大きさを見ているわけですが、この大きさが貧血の原因によって変化するのでしたね。さて、MCVは 90~100 fl(フェムトリットル)の場合を「正球性」とし、90未満を「小球性」、100以上を「大球性」と分類します。この症例では、MCVは 86.2fl ですから、「小球性」ということになります。さて、では「小球性」の原因としてまず考えるべき原因は? 頻度として多いのは「鉄欠乏性」や「続発性貧血」です。簡単にいうと、赤血球が形成されるために必要な「鉄欠乏性」は「鉄分が少ない場合」、「続発性貧血」は「鉄分が少ないのではなく 赤血球の材料として鉄分を上手に利用できない場合」に、「小球性」になる、ということです。ということは、「鉄分」について調べる必要がありそうですね。では、「鉄分に関するデータ」を調べてみたところ、以下のようになりました。

 

Fe 38μg/dl, TIBC 218μg/dl, UIBC 180μg/dl, Ft 507.5ng/ml

 

これは正常範囲がないと難しいので簡単に言うと、Fe(血清鉄)が低値で、Ft(フェリチン・貯蔵鉄)が高値、ということです。ということは、一見すると鉄分が不足しているように見えますが、「鉄分」はむしろ大量に貯まっている状態、といえます。このパターンは「続発性貧血」と言って、慢性的な炎症が続くいている場合に多く見られます。悪性疾患や結核などが原因で慢性的な炎症が続くと、貧血が進行するわけですね。

 

今回はここまで。貧血の原因として 「続発性貧血」が考えられるわけですが、他にも貧血の原因はないでしょうか?次回は、同じデータをもう少し掘り下げて考えてみることにします。

→ 血液検査データの読み方:実践問題編2

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