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そうだったのか! 就労支援5

[2021.07.05]

法定雇用率の対象となる疾患は?

 

前回学んだ「法定雇用率」ですが、どのような疾患の方が その対象となるのでしょうか?対象となる方は、以下の通りです。

 

身体障害者:通常勤務であれば1人・重度身体障害者であれば2人・短時間勤務であれば左記の各半分として算定

知的障害者:通常勤務であれば1人・重度知的障害者であれば2人・短時間勤務であれば左記の各半分として算定

精神障害者:2018年の改定以降、対象となった。リハビリとの関連で言えば、高次脳機能障害が「器質性精神障害」となることで、「精神障害者福祉保健手帳」の申請対象となり、法定雇用率の対象疾患となった

 

2018年の制度改正で、身体障害者・知的障害者に加えて、精神障害者も対象となりました。この精神障害者には、上記の通り「高次脳機能障害」の方も対象となるため、脳血管疾患で入院して 高次脳機能障害がある方は、この制度の対象となります。以前であれば、脳血管疾患後に高次脳機能障害がある方は、就労が困難になる場合もあったかもしれませんが、制度の変更によって、より職場に復帰しやすくなることが期待されています。

 

では、高次脳機能障害という診断をつければ、再就職・職場復帰が容易になるのか、といえば、そう簡単ではありません。就労支援・障害者雇用において大切なのは、障害を契機に就労できたとしても、その後、ゆっくりとでもスキルアップしていくことです。つまり就労後もある種の職業訓練と考えれば、業務を通じて職場や業務に慣れ、作業速度が向上したり、周囲とのコミュニケーションが上手にとれることも大切なのです。従って企業側が障害者を雇用しようと考えているときに、例えば交通外傷で障害者認定を受けている身体障害の方と、高次脳機能障害のある方とで、企業側がどちらを雇用するか、判断が分かれることもあると思います。なかなか難しいことなのですが、患者さんの再就職や職場復帰を応援する医療者が、上記のような制度があることを少しだけ知っておけば、これまで以上に 充実した退院支援が可能になるのではないでしょうか。

 

就労支援上 重要な、2つの「意外な」視点

最後に、就労支援上、重要な視点をお話しします。

1つは、患者さんの「体力」です。リモートワークが浸透してきた現代社会ですが、就労する以上は 職場に出勤することが求められる場合も多く、通勤や勤務に耐えられるだけの「体力」が必要なのです。実際の職業訓練でも、1つの訓練内容につき100分程度続くことも多く、集中して訓練に臨むことができる体力が重要なのです。

もう1つは、「振り返り」です。筆者がお手伝いしている「国立職業リハビリテーションセンター」でも、訓練の内容を「振り返り」、自身で課題を見つけ、常に改善を図る努力を怠らない姿勢を身に着けるよう訓練していきます。

障害者雇用がすすむにつれ、障害のある方も、より自主的に、能動的に社会に参画していくことが求められているのかもしれません。

 

次号はこちら

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「介護保険」を徹底解説!

→  徹底解説! 介護保険1

 

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