メニュー

これなら分かる! 向精神薬5

[2021.05.17]

「ベンゾの副作用」 (おまけの Zドラック)

 

ベンゾジアゼピン受容体作動薬(通称、ベンゾ)が悪者扱いされる理由はもちろんその副作用にあると言えます。一部の患者さんに浸透している「精神科の薬ってくせになるんでしょ?」、「1回始めるとやめられなくなるんでしょ?」みたいな向精神薬全体に対する誤ったイメージも、ベンゾの副作用を捉えたものと考えられます。

ベンゾの代表的な副作用を挙げると…

 

傾眠、転倒、筋弛緩、呼吸抑制、耐性、依存性、離脱症状、反跳性不眠、認知機能障害、健忘、せん妄、脱抑制

 

改めて見てみると、ベンゾの副作用って、アルコールを飲んだときの反応に似ていると思いませんか?
実は、ベンゾとアルコールでは、脳内で作用する部位が共通しているのです。だから、アルコールと飲み合わせが悪いのです。

 

ベンゾの副作用を理解するには、「悪酔いした人」をイメージしてみる分かりやすいと思います。
 ・呂律が回らず(傾眠)、千鳥足でふらふら(筋弛緩)、人が変わったかのように感情的になったり、
 ・
普段しないような言動がみられたり(脱抑制)、散々人に迷惑をかけたのに次の日には記憶がなかったり(健忘)…

依存性についても、「アルコール依存」の方をイメージしてみると…
 ・飲んでいるうちにだんだん鍛えられていって、少しの量では満足できなくなり(耐性)、
 ・
そのことが頭から離れなくなり(依存性)、少し飲まない時間が出てくるとそわそわして落ち着かない、
 ・
手が震える、眠れなくなってしまうからやめられない(離脱症状、反跳性不眠)・・・

 

アルコールとベンゾを一緒に飲んでしまうと、これらの副作用がさらに出やすくなりますので、いかに大変なことになるかも想像できますね。アルコールだけ、ベンゾだけならきっと問題がなかったような人が、併用してしまったばかりに・・・というような、ケースを私も臨床現場でみてきました。もちろんたいしたことなければいいのですが、社会的に大きな問題を起こしてしまったりすると、その人の人生そのものが変わってしまう可能性もあることを忘れてはいけません。

まだ処方していない患者さんにはできる限り出さないようにすればいいのですが、既にベンゾが長期連用されている場合は別の注意が必要です。副作用が多い薬だから危ない、などと安易に中断してしまうと、離脱症状が起こって逆に危険です。精神科以外の医師以外にもベンゾの危険性が伝わってきているのは喜ばしいことなのですが、こういう弊害もあるんだなと実感しました。

依存形成までの期間については諸説あり、短期間でも依存性が形成されてしまう場合もあるといいますが、たとえば半年以上とか長期連用している場合や連用期間が不明な場合などは、減薬など検討するなら慎重に行う、精神科にコンサルトする、などの配慮が大切です。

 

【おまけ】
Zドラッグについて
ゾルピデム(マイスリー®️)、ゾピクロン(アモバン®️)、エスゾピクロン(ルネスタ®️)という薬をご存知でしょうか。これらはスペルにZが入るので「Zドラッグ」などと呼ばれます。「非ベンゾ」とも呼ばれますが、基本的に作用する場所はベンゾと同様です。転倒、耐性、依存性、離脱が起こりにくいとされていますが、せん妄や転倒のリスクはほぼ変わらないという報告もあります。ベンゾと比べればマシかな、っていう程度に考えておくといいと思います。私が「非ベンゾ」と聞いてイメージするのは、ラメルテオン(ロゼレム®️)、スボレキサント(ベルソムラ®️)などの睡眠薬です。

 

次回は、ベンゾを使用する場面について触れたいと思います。

 

→ これなら分かる! 向精神薬6

 

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME