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これなら分かる! 向精神薬6

[2021.05.20]

ベンゾを使うべき場面

ここまではベンゾジアゼピン受容体作動薬(通称、ベンゾ)の危険性について中心に話をしてきましたが、ベンゾを使用した方がいい場面もいくつかあるので紹介しておきます。

以前にも触れたうつ病や不安障害の急性期もその1つではあるのですが、あくまでも抗うつ薬などの効果が発現するまでの時間稼ぎ、として使うイメージであり、問題を先延ばしにしているだけで、根本的な解決になっていないということです。そのことを患者さんに説明し、ベンゾのメリット・デメリットを充分にご理解いただき、計画的に治療していくことが大切です。

ほかに、アルコールの離脱症状予防、緩和、改善目的に使用することがあります。ベンゾで離脱症状が起きている時も同じですね。もちろん、てんかん発作の抑制にも有用です。むずむず脚症候群にも使われることがあります。少しマニアックですが、カタトニア(緊張病)にも使用します。

その他に、私がベンゾの使用を考える場面は、しっかりとした鎮静が必要なときです。この場合、経口薬というよりも注射剤の方が適しています。日本で使えるベンゾの注射としては、フルニトラゼパム(サイレース®️ジアゼパム(セルシン®️・ホリゾン®️ミダゾラム(ドルミカム®️です(ほかにもあったらすみません・・・)。ミダゾラム(ドルミカム®️)は作用時間が短く、切れが早いので好まれます。点滴持続鎮静でもよく使われますね。これらは苦痛を伴う医療処置を行う前の前投薬としてよく使われますよね。皆さんの中にも、人間ドックの胃カメラなどの前に投与された方もいらっしゃるのではないでしょうか?

また、フルニトラゼパム(サイレース®️)は興奮が強い、自傷他害の恐れが高い状態で急速に鎮静をかけたいときなどには欠かせませんただし、急速鎮静として用いる際には特に呼吸抑制への配慮が必要で、必ずSpO2モニター、酸素、アンビューバッグ、拮抗薬(フルマゼニル:アネキセート®️)の準備をして、いつでも使える状態にしておきましょう!

せん妄の患者さんには、基本的にベンゾは避けるべきなのですが、使用する場合もあります

1つは上にも述べた、アルコール離脱による離脱せん妄の場合。あとは、せん妄を起こしているけれど、昼夜逆転がそれをさらに助長しており、ひとまずどうにかして夜間の睡眠を確保したい場合。他にも終末期などで改善不能なせん妄(せん妄の原因除去ができない)が継続している際の苦痛緩和としての持続鎮静などにも役に立ちます。こういう場面で使用する際には、さらなるせん妄の悪化を避けるため、ハロペリドールなどの抗精神病薬を少量でも併用するようにし、基本的にはベンゾ単剤で使用しないように心がけます。

余談ですけれど、前回の「これなら分かる! 向精神薬4」でも ベンゾとアルコールの関連について触れましたね。実は「交差耐性」といって、普段からアルコールを多飲して耐性がついている人はベンゾも効きにくくなっているので鎮静を考える際には少し注意が必要です。

 

今回ご紹介したように、ベンゾには役に立つ場面もたくさんあります。われわれもベンゾの特性をしっかりと理解し、適切に使用していくことが望まれます。

 

認知症のキホンに立ち返りたい方は、

→ そこが知りたい、認知症 1 「認知機能」 と 「MMSE」

同じく薬の使い方として、知っておきたい「抗生物質」

→これだけ! 抗生物質1

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