循環器内科医が教える 高血圧7 高血圧治療薬の選び方:高血圧+脳血管疾患慢性期・認知症・誤嚥性肺炎
高血圧治療薬の選び方:
高血圧+脳血管障害慢性期 / 高血圧+認知症 / 高血圧+誤嚥性肺炎
このシリーズでは、循環器内科医の杉村医師と、同僚の南医師の2人が協力して、
高血圧について やさしく解説していきます。
これまで合併症ごとに降圧薬が異なることをご紹介してきましたが、
今回は、脳血管疾患の慢性期の患者さんや、認知症がある患者さんに対して
降圧薬を投与する場合について学んでいきます。
高血圧+脳血管疾患慢性期:
高血圧について やさしく解説していきます。
これまで合併症ごとに降圧薬が異なることをご紹介してきましたが、
今回は、脳血管疾患の慢性期の患者さんや、認知症がある患者さんに対して
降圧薬を投与する場合について学んでいきます。
高血圧+脳血管疾患慢性期:
カルシウム拮抗薬 | ARB・ACE阻害薬 | 利尿薬 | β遮断薬 | |
脳血管障害慢性期 | ● | ● | ● |
脳血管疾患が再発する最大の危険因子は高血圧です。
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の中でも、脳血管特異性が高く、
強力な降圧効果があるニカルジピンなどを用います。
アムロジピンと比べ、降圧が強力な分、反射性に交感神経が刺激されることで
頻脈となりやすい点に注意が必要です。
ジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬の中でも、脳血管特異性が高く、
強力な降圧効果があるニカルジピンなどを用います。
アムロジピンと比べ、降圧が強力な分、反射性に交感神経が刺激されることで
頻脈となりやすい点に注意が必要です。
高血圧+認知症:
高血圧を合併した認知症患者に対して過度な降圧を行った場合、
認知機能が逆に悪化すると報告されており、降圧しすぎないことが大切です。
現在のところ、認知症特異的な予後改善エビデンスのある降圧薬はなく、
患者さんが有する他のプロブレムに準じた薬剤選択が推奨されます。
高血圧を合併した認知症患者に対して過度な降圧を行った場合、
認知機能が逆に悪化すると報告されており、降圧しすぎないことが大切です。
現在のところ、認知症特異的な予後改善エビデンスのある降圧薬はなく、
患者さんが有する他のプロブレムに準じた薬剤選択が推奨されます。
高血圧+誤嚥性肺炎:
カルシウム拮抗薬 | ARB・ACE阻害薬 | 利尿薬 | β遮断薬 | |
誤嚥性肺炎 | ● |
パーキンソン病や認知症、フレイルなど、誤嚥の可能性がある場合、
ACE阻害薬がよい適応となります。
神経伝達物質のサブスタンスPという物質は、減少すると嚥下機能が低下すると言われています。
このサブスタンスPの分解を抑制することで咳反射の感受性を上昇させ、
誤嚥した場合に咳が誘発されやすくなります。つまり、
誤嚥したときの咳反射を起こしやすくすることで、誤嚥を防ぐ、ということですね。
ACE阻害薬がよい適応となります。
神経伝達物質のサブスタンスPという物質は、減少すると嚥下機能が低下すると言われています。
このサブスタンスPの分解を抑制することで咳反射の感受性を上昇させ、
誤嚥した場合に咳が誘発されやすくなります。つまり、
誤嚥したときの咳反射を起こしやすくすることで、誤嚥を防ぐ、ということですね。
「高血圧 + 慢性腎不全 / 糖尿病」の治療薬
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