循環器内科医が教える 高血圧6 高血圧治療薬の選び方:高血圧+腎不全・糖尿病 の場合
高血圧治療薬の選び方:高血圧+慢性腎不全 / 高血圧+糖尿病
このシリーズでは、循環器内科医の杉村医師と、同僚の南医師の2人が協力して、
高血圧について やさしく解説していきます。
前回は、高血圧に加えて合併症があった場合に、使用する薬剤が異なることをご紹介しました。
今回は、高血圧に慢性腎不全が合併した場合、高血圧に糖尿病が合併した場合について、
それぞれ どんな降圧薬を選択すべきか解説していきます。
高血圧治療の選び方:高血圧+慢性腎不全
高血圧に慢性腎不全が合併している場合、蛋白尿の有無、糖尿病の有無で推奨される薬剤が異なります。
高血圧について やさしく解説していきます。
前回は、高血圧に加えて合併症があった場合に、使用する薬剤が異なることをご紹介しました。
今回は、高血圧に慢性腎不全が合併した場合、高血圧に糖尿病が合併した場合について、
それぞれ どんな降圧薬を選択すべきか解説していきます。
高血圧治療の選び方:高血圧+慢性腎不全
高血圧に慢性腎不全が合併している場合、蛋白尿の有無、糖尿病の有無で推奨される薬剤が異なります。
カルシウム拮抗薬 | ARB・ACE阻害薬 | 利尿薬 | β遮断薬 | ||
慢性腎不全 | (蛋白尿-) | ● | ● | ● | |
(蛋白尿+) | ● |
高血圧+慢性腎不全:
1)蛋白尿(-)で、糖尿病(-)の場合
蛋白尿は検出されず、糖尿病の合併もないけれど、高血圧に慢性腎不全が合併している場合には
腎細小動脈の血管抵抗が上昇する腎硬化症という病態であることが多いため
カルシウム拮抗薬がよい適応です。
腎臓の糸球体の入り口となる輸入細動脈を強力に拡張するため、糸球体血流量が増加し、
腎機能が改善される点で他の降圧薬より有用です。
また、慢性腎不全の進行を遅らせるという目的では、
RA阻害薬は糸球体の出口となる輸出細動脈をより拡張するため、糸球体内圧が低下し、有用です。
2)蛋白尿(-)で、糖尿病(+)の場合
先程のパターンと異なり、蛋白尿が検出されなくても糖尿病がある場合には、
ARBやACE阻害薬などのレニンアンギオテンシン系阻害薬(RA阻害薬)と
カルシウム拮抗薬・利尿薬の間には予後を改善させる効果に有意差がないため、
患者さんが有する他のプロブレムに準じた薬剤選択が推奨されます。
3)蛋白尿(+)の場合
蛋白尿が検出されている場合には、糖尿病の有無にかかわらず、RA阻害薬を選択します。
糸球体の出口となる輸出細動脈を より拡張するため、糸球体内圧が低下し、
腎機能を保護される点で他の降圧薬よりです有用です。
高血圧+糖尿病:
1)蛋白尿(-)で、糖尿病(-)の場合
蛋白尿は検出されず、糖尿病の合併もないけれど、高血圧に慢性腎不全が合併している場合には
腎細小動脈の血管抵抗が上昇する腎硬化症という病態であることが多いため
カルシウム拮抗薬がよい適応です。
腎臓の糸球体の入り口となる輸入細動脈を強力に拡張するため、糸球体血流量が増加し、
腎機能が改善される点で他の降圧薬より有用です。
また、慢性腎不全の進行を遅らせるという目的では、
RA阻害薬は糸球体の出口となる輸出細動脈をより拡張するため、糸球体内圧が低下し、有用です。
2)蛋白尿(-)で、糖尿病(+)の場合
先程のパターンと異なり、蛋白尿が検出されなくても糖尿病がある場合には、
ARBやACE阻害薬などのレニンアンギオテンシン系阻害薬(RA阻害薬)と
カルシウム拮抗薬・利尿薬の間には予後を改善させる効果に有意差がないため、
患者さんが有する他のプロブレムに準じた薬剤選択が推奨されます。
3)蛋白尿(+)の場合
蛋白尿が検出されている場合には、糖尿病の有無にかかわらず、RA阻害薬を選択します。
糸球体の出口となる輸出細動脈を より拡張するため、糸球体内圧が低下し、
腎機能を保護される点で他の降圧薬よりです有用です。
高血圧+糖尿病:
カルシウム拮抗薬 | ARB・ACE阻害薬 | 利尿薬 | β遮断薬 | |
糖尿病 | ● |
糖尿病を合併している高血圧の場合には、運動療法・生活習慣の是正だけで
様子をみるのではなく、早期から降圧薬併用治療を開始することが推奨されます。
用いる降圧薬については、尿中アルブミン尿・蛋白尿の有無が重要となります。
ですが現実的に糖尿病患者では多くの場合、微量アルブミン尿を呈しており、
RA阻害薬を第一選択として問題がありません。
様子をみるのではなく、早期から降圧薬併用治療を開始することが推奨されます。
用いる降圧薬については、尿中アルブミン尿・蛋白尿の有無が重要となります。
ですが現実的に糖尿病患者では多くの場合、微量アルブミン尿を呈しており、
RA阻害薬を第一選択として問題がありません。
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